誰でも簡単に「深く考える」ことができるようになるシンプルな方法

たとえ「家族旅行」の方が総幸福量が多かったとして、それがなんだと言うのだ?
人生は、総幸福量を最大化するゲームなんかじゃない。
人生とは、そんな矮小なものではない。
だとすると、いったい、何を基準に、自分はその選択をすべきなのか?
とか考える。


これが、「浅い思考」だ。
これは、長い人生の間に身についた思考のクセみたいなもので、ドアの前に立ったら、反射的にドアノブを回してしまうのと同じぐらい自動的なプロセスだ。
何事につけ、何かの判断をするとき、だいたいこのくらいは、ほぼ瞬時に考える。
こうやって文章にすると長いけど、実際には、ほんの数十秒、長くても、せいぜい数分のプロセスだ。

人によってバリエーションはあるが、誰でも、こういう、自分のオリジナルの、「浅い思考」があるのだと思う。


では、「深い思考」とはなにか?

それは、自分の「浅い思考」のプロセス自体を精緻に観察し、分析し、妥当性を懐疑し、検証し、より優れた思考プロセスへと改良しながら、よりよい思考をするということだ。

 

浅い思考は、本当の思考じゃない。
本当の意味で「思考する」とは、「自分の普段の思考のクセ」に逆らって思考するということだ。
いつもの自分の思考パターンを漫然となぞることは、「考える」とは言わない
がちがちに固まったプログラムに、ただ漫然とデータを流しているだけでは、「考えている」ことにはならない。

「考える」とは、今まで思考したことのないような思考方法で思考するということだ。
脳の新しい回路に通電し、新しい思考方法を開拓し、それを血肉にしていくということだ。
思考を司るプログラム自体を書き換えながら、思考するということだ。
そうすることで、人間の思考能力は高まり、精神が発達し、人生が豊かになっていく。


これこそが、「深く考える」ということだ。

だから、「深く考えるコツ」というのは、極めてシンプルだ。

第一に、自分の「浅い思考」を精緻に観察するということ。
第二に、それを分析・検証・改良しながら思考するということ。

これだけだ。

もちろん、自分の浅い思考を分析・検証・改良するためには、思考方法についての知識が必要だ。